内藤正人著 『うき世と浮世絵』

2017.07.22 Saturday

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    『うき世と浮世絵』
     内藤正人著


    2017年4月28日、東京大学出版会発行
    46判、212頁、定価3200円+税

    目次

    はじめに――二十一世紀の新たな浮世絵観へ向けて――

    1 浮世絵の再検討
      浮世絵とは何か?  
      浮世絵と風俗画  
      日本の風俗画  13
      江戸絵画における浮世絵の扱われ方  
      狩野派絵師、守篤の『画筌』  
      『古画備考』にみる絵師分類  
      遊女歌舞伎の人気から生まれた、立ち美人図  
      再び、浮世絵という言葉の定義  

    2 「浮世」という、ことば
      「うきよ」の登場――漢語の用例  
      仏教語としての「うきよ」  
      仏教語辞典の「うきよ」  
      日本古代の史料における「うきよ」  
      中世鎌倉期の「うきよ」  
      中世室町期の「うきよ」  
      狂言とも通じる室町の浮世観、そして桃山へ  

    3 「浮世絵」誕生の軌跡
      江戸初期の「うきよ」――『可笑記』と『浮世物語』  
      江戸期の「浮世」関連用語――当世か、好色か  
      浮世概念と浮世絵・浮世草子 
     
    4 浮世絵誕生以降
      浮世絵の語が意味するもの  
      浮世絵師の出現  
      俗称を使う絵師たち  
      小説挿絵なるものの価値  
      居初つなと、宮崎友禅  
      「日本絵師」の誕生  
      岩佐又兵衛、浮世絵元祖説  
      《江戸名所図屏風》と又兵衛、師宣  
      「浮世絵師」を避けることの意味  
      「日本絵師」の終焉  
      最後に、浮世画工と本絵師  
      付論、浮世絵と思想  

    5 浮世絵観の再構築
      浮世絵史の多元性  
      「版画」と「肉筆」
      江戸の版画史からとらえた浮世絵の歴史
      肉筆画、つまり絵画作品で辿る浮世絵史
      近代文学と浮世絵  
      近代人がとらえる浮世絵
      鴎外作品のなかの浮世絵
      白秋のなかの北斎

    6 「絵師」再見
      絵師の遺伝子  
      江戸のサブカル絵師≠浮世絵師
      絵師の仕事の中身
      浮世絵とサブカルチャーの蜜月  
      日本のサブカルチャーと浮世絵の接点
      「サンダーバード」と写楽
      日本漫画、石ノ森章太郎のなかの北斎
      サブカルチャーと、古美術の関係性
     付論、浮世絵と教科書
      
    あとがき  
    索  引

    著者略歴

    1963年 愛知県名古屋市に生まれる
    1988年 慶應義塾大学大学院修士課程修了
         出光美術館主任学芸員を経て,
    現 在 慶應義塾大学文学部教授,博士(美学)

    主要著書

    『江戸名所図屏風 大江戸劇場の幕が開く』(小学館,2003年)
    『もっと知りたい歌川広重』(東京美術,2007年)
    『北斎 萬福和合神』(ランダムハウス講談社,2009年)
    『新撰 歌川広重 保永堂版「東海道五十三次」神髄集成』(小学館,2011年)
    『勝川春章と天明期の浮世絵美人画』(東京大学出版会,2012年)
    『江戸の人気浮世絵師』(幻冬社,2012年)
    『浮世絵とパトロン』(慶應義塾大学出版会,2014年)ほか
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    うき世と浮世絵 [著]内藤正人
    [評者]サンキュータツオ(お笑い芸人、日本語学者)
    [掲載]2017年07月02日

     本書は「うき世」が、仏教的な無常観を漂わせる「憂世」から、次第に現世肯定的で享楽的な「浮世」に変遷し、定着していく過程を記紀万葉、源氏物語、太平記といった古典作品から江戸時代の小説に至るまでの使用例を調べ、抽出し明らかにしていく。ともすれば教科書的な「浮世絵の歴史」といった内容になりがちなテーマで、このように語史から検証したという点が画期的だ。そして、言葉の意味から捉え直した歴史観で、その意味に符合する浮世絵史を再構成する。するとどうだろう、先述の師宣の心理や、後世「浮世絵師」を名乗った絵師たちのプライドまでが手に取るようにわかってくる。
    【朝日新聞デジタル】
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    ■『うき世と浮世絵』