資本論150年

2017.07.23 Sunday

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    資本論150年
     挑戦する人は多いが、なかなか通読できない本がある。代表例が、今年で出版150年となる『資本論』だろう。著者のマルクスは生前、難解だと苦情を聞かされると「労働日」の章を読んでくれと言っていたそうだ。英国にはびこる長時間労働を扱っている。……

    2017年7月23日、今日の〔天声人語〕である。
    ●昭和33年(1958)4月、私は法政大学文学部日本文学科に入学した。入学式は、東京都体育館で行われた。総長の祝辞で、大内兵衛先生は、
    諸君、入学おめでとう。諸君は、大学4年間に『資本論』を読み通せば、大学生活は意義あるものとなるだろう。
    というようなことを述べられた。私は、履修届を出すと共に、庭球部に入り、資本論研究会に入会して、『資本論』の講義を受けた。毎回、30名位の学生が集まり、先生や先輩から教えてもらった。合同出版のテキストだった思う。とにかく、難しい。回りを見ても、法学部や経営学部が殆どで、文学部は私1人だった。3ヶ月ほどで退会した。
    ●文学にとって『資本論』は何か、『源氏物語』だろう。私は、『源氏物語』の読破を計画した。まず、谷崎源氏を読んでみた。どうもしっくりしない。次に、与謝野源氏を読んだ。すーと入ってきた。与謝野源氏であらすじを頭に入れて、次に、池田亀鑑の朝日古典全書で全巻を読んだ。机の前に、各巻の人間関係図と年立を貼って、読み進めた。最初は、1頁読むのに2時間も2時間半もかかった。しかし、読み進めるに従って、早くなった。
    ●大学1年から2年に掛けて、『源氏物語』を読破したことは、以後の日本文学研究に大変役立った。卒業論文の面接試問で、重友先生は、
    『源氏物語』は全部読んだのかね、
    とただされた。私の卒論の〔まえがき〕で『源氏物語』に関して言及していたからである。私は「はい」と自信をもってお答えした。
    ●マルクス・エンゲルスの『資本論』出版から、150年が経過した。今日の天声人語を読むと、学生時代を思い出す。