『仮名草子集成』と私

2017.07.28 Friday

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    『仮名草子集成』第10巻
    1989年9月30日 東京堂出版発行

    編者略歴

    〔朝倉治彦〕 大正十三年東京に生ま
    れる。昭和二十三年国学院大学国文
    科卒。二十五年同大学特別研究科修。
    現在四日市大学教授兼図書館長、国
    学院大学・成城大学講師。編著書に
    『竹斎』『小盃』『順礼物語』『長者
    教』『仮名草子集』(以上古典文庫)
    『未刊仮名草子集と研究』一・二(未
    刊国文資料)『東海道名所記』(平凡
    社)『守貞謾稿』『図書館屋の書物捜
    索』(東京堂出版)など。

    〔深沢秋男〕 昭和十年山梨に生まれ
    る。昭和三十七年法政大学日本文学
    科卒。現在昭和女子大学短期大学部
    国文科助教授。編著書に『可笑記大
    成』(共編著、笠間書院)『可笑記評
    判』(近世初期文芸研究会)『浮世物
    語』『井関隆子日記』『桜山本春雨物
    語』(以上勉誠社)など。

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    【追 記】

    平成元年(1989)、朝倉治彦先生は、『仮名草子集成』の編者に、私を加えて下さった。これは、私の仮名草子研究において、大きな軌道修正であった。昭和47年(1972)横山重先生、前田金五郎先生企画の、『近世文学資料類従』に参加させて頂き、私の研究の軌道は修正されたが、さらに、朝倉先生によって大きく修正されたのである。横山、前田、朝倉の三先生の御厚情に対して、改めて感謝申上げる。

    この『女仁義物語』の諸本調査は、朝倉治彦先生の『仮名草子集成』第10巻に編者として加えて頂いた時に行ったものである。当時、仮名草子の諸本調査の方法について、確たる基準が決められていた訳でもなく、研究者各自が、先学のスタイルを参照していた。『仮名草子集成』の書誌解題は、朝倉先生の方法で記述されており、これは、私の方法とは異なっていた。朝倉先生と相談して、『仮名草子集成』は、これまで通り、朝倉先生の方法で記述し、私は別に、雑誌等に発表するということにした。従って、『仮名草子集成』の解題は、私の調査結果を基に、朝倉先生が記述したものである。
    私は、仮名草子等の諸本調査を行う場合、原則として、1つの作品に限定して調査した。2点、3点の作品を同時に調査することはしなかった。その原本の特徴を把握して、諸本間の関係を解明するには、その方が正確な結果が得られるものと考えたのである。効率よりも正確を考えたのである。
    このような、諸本調査は、文学研究において、基礎的な作業であり、テキストの優劣を判定する重要な仕事である。これは、机の上での作業ではなく、原本所蔵の図書館等に出向いて、原物を直接調べる作業である。それだけに、多大な時間と経費がかかる。だからこそ、1つの作品に対して、何回も何回も同じ作業を繰り返す無駄は省きたい。そのように考えたのである。

    朝倉先生の企画された『仮名草子集成』は、現在、第57巻が進行中である。先生の遺志を継承した、若い研究者によって、その完結を目指している。

    平成29年1月23日
    深沢秋男

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    【追記 2】
    私は、老齢となった。この叢書の編者を辞することにして、関係者に伝えた。以後は、若い研究者が完結に向けて努めて下さるものと思う。仮名草子研究者としての務めを果すことが出来て幸せである。

    平成29年7月28日
    深沢秋男

    ■『仮名草子集成』第57巻