秋山 虔 先生

2017.03.04 Saturday

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    ●今日、「中世王朝物語全集」の、第10巻、『しのびね・しら露』が届いた。その栞の第4号に、秋山虔先生が一文を寄せておられる。
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    豊饒な古典遺産を享受

    秋山虔(東京大学名誉教授)

     源氏物語の光彩の陰で細々と伝流し、少数の研究
    者によってのみ手がかけられてきた、いわゆる「擬
    古物語」の諸作品が、周到な校注、斬新な現代語訳
    によって、粧いもみごとに新生した。その魅力的な
    形姿と対面するにつけても、あの無名草子に源氏物
    語が最大級に賞賛されつつも、「かれを才覚にて作
    らむに、源氏にまさりたらむことを作りいだす人も
    ありなむ」と語られた文言が思い起こされる。源氏
    の後の物語は、その世界がいかに現実に近いかとい
    う形でではなく、源氏において達成の極められた王
    朝物語言語のしたたかな伝統がどのような形で生き
    つづけているかにあるといえよう。この「中世王朝
    物語全集」によって、私たちはあらためて豊饒な古
    典遺産を享受することができよう。
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    ●私は、法政大学で、非常勤の秋山先生の、源氏物語講読を履修させて頂き、卒業後も、3年間聴講させて頂いた。素晴らしい講義・講読だった。非常に多くの事をお教え頂いた。先生は、まだ、駆け出しで、身分のない私に、東大図書館への、懇切な紹介状を書いて下さったこともあった。また、『可笑記』の諸本に関して、調査している方がいるので、学界発表を急ぐように、とアドバイスしても下さった。
    ●秋山先生は、私が『井関隆子日記』を出した時も、『蜻蛉日記』下巻と、同趣の点がある、と励まして下さった。海のものとも山のものともわからない著作を手がける、私にとって、こんなに励まされるお言葉はなかった。
    ●先生は、最晩年、遊びにいらっしゃい、とお声をかけて下さった。私の都合で、実現しなかったが、私にとって、これは勲章である。


    ■秋山 虔 先生
     ネット より