『井関隆子日記』は 江戸時代のブログ

2016.01.27 Wednesday

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    ●「学生の窓口」というサイトに、次のような書き込みがあった。
    。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

    『井関隆子日記』は トイレネタブログ

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    江戸時代に「トイレネタブログ」があったって本当?

    2015/10/26ネタ・おもしろ・エンタメ S60 e4bff9ea56a3d72c1832
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    江戸時代に「トイレネタブログ」があったって本当?

    昔の日本でブログの役割を果たした「日記」。江戸時代に、こともあろうか
    「トイレネタ」を記した「井関隆子(いせき たかこ)日記」が存在したのは
    ご存じだろうか?

    作者・井関隆子は大身・旗本の妻のかたわら、庶民の生活や幕府への批判を
    はばかることなく記していった。するどい観察眼と教養の深さから当時の様子を
    知る重要な書物でありながら、古典文学のトイレネタをチャカしながら披露するなど、
    ヘンテコな日記が存在したのだ。

    ■マニアックすぎるトイレネタ
    井関隆子の実家は代々徳川家につかえる旗本・庄田家で、赤穂浪士で知られる
    浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)に切腹を申し付けた大目付を親戚に持つ由緒正しい
    家柄だ。やがて旗本の松波源右衛門と結婚するが、わずか3年ほどで離婚。

    のちに井関弥右衛門と再婚し、歌や日記など数々の作品を残す。井関家の屋敷は
    現在の九段下あたりに350〜500坪と推定され、経済的には恵まれていた環境
    だったのも、隆子が文学に集中できる一因となる。当時はまず師匠について教えを
    乞うのが一般的だったが、隆子はかたっぱしから古典文学を読み独学で知識を習得する。
    これに鋭い観察眼が加わり、当時のできごとを独自の世界観で描いているのだ。

    なかでも印象的なのはトイレネタだ。当時は「くみ取り」が当たり前で、肥料として
    農家に販売される日常的な商売でもあった。これを、
     ・なんてタイミングが悪いのでしょう、食事中に、隣家にくみ取りが来てしまった
     ・においはもちろん、生々しい音が聞こえて閉口ものだ
    と記しながらも、古典文学の「トイレ描写」の紹介に発展する。源氏物語や落窪(おちくぼ)
    物語などのトイレシーンを、こと細かく解説しているのだ。そこまで紹介しなくても!
    と思えるのが平中(へいちゅう)物語で、
     ・主人公・平中が、女性にかなわぬ恋をした
     ・その女性を忘れようと、便を盗んでにおいをかぐ
    で、舞台となる平安時代は「箱」に便をする習慣があり、平中はそれを
    盗み出してにおいをかいだという話である。豊富な知識の表れなのだろうが、
    これを紹介するメリットはなに?と問いたい。

    ■怖いものなしの政治批判
    井関隆子日記の魅力はイロモノだけではない。幕府への批判や将軍の葬式など、
    政治ネタにも長けていたのだ。
    この背景として、隆子には広い情報網があり、
     ・子の親経(ちかつね) … 広敷用人(ひろしきようにん)
     ・親経の妻の兄 … 目付や奉行を歴任
    と、さまざまな情報を得ることができた。これに師につかず独学するような
    勝気さが加わり、鋭い政治批判も多くみられる。当時、水野忠邦(ただくに)が
    推進していた天保(てんぽう)の改革、なかでも上知(あげち)令をボロクソに
    こき下ろしているのだ。

    江戸や大坂近辺の領地を取り上げ、幕領を拡大するのが上知令で、農業や産業
    が栄えた場所を接収し、幕府の収入を増やそうとする「よこ取り」作戦である。
    いくら代わりの土地をもらえるとはいえ、苦労して築き上げた街をとられてしまう
    のだから、大名も旗本もたまったものではない。これを隆子は、
     ・悪いことをしていないのに「国替え」させられるようなもの
     ・栄えている場所を優先的に接収しようとしている
    と批判。あげく、「これは将軍の考えではなく、水野忠邦の仕わざだ」とまで記している。
    現代なら多くの「いいね!」が獲得できるだろうが、当時において命知らずともいえる
    大胆さもあったのだ。

    このほか、徳川家斉(いえなり)の葬儀、天保15年に起きた江戸城の火災などをリアルタイムで
    記し、大学の入試問題にも利用されている。トイレネタも、当時の様子を知る貴重な情報なので、
    興味のあるひとはぜひ読んでいただきたい。
    ■まとめ
     ・江戸時代に記された井関隆子日記には、トイレネタが克明に記されている
     ・源氏物語などの古典作品からも「トイレ描写」を紹介
    ・知名度は低いが、入試問題にも利用された