『百八町記』の研究史

2017.07.17 Monday

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    ●私は、如儡子研究を卒論に選んで、ここまで追究してきた。この『百八町記』は、初期の頃から読んでいたが、内容が単純なようでありながら、実は、仏教思想の処理がとても難しい。ついつい、後回しになり、最後に残ってしまったのである。
    ●この作品の諸本調査は、昨年、『近世初期文芸』第33号に報告した。個人的な事情で、思うように調査できなかったけれど、まず、実状は解明できたと思う。東京大学図書館蔵無刊記本に関しての疑問を残すが、諸本は、次の如く分類できる。

    1、 無刊記本
    2、 寛文4年5月、中野道伴版
    3、 刊年未詳、中川茂兵衛・中川弥兵衛版
    4、 寛文4年、銭屋三良兵衛版(儒仏二教水波問答)

    ●近代に入ってからの、この作品の研究をひとわたり見ると、余り進んでいなかった。何しろ、文学としては、魅力に乏しい作品である。

    潁原退蔵氏「仮名草子の三教一致的思想について」
       昭和12年11月30日
    鈴木 亨氏「『百八町記』の考察」
       昭和46年1月
    野間光辰氏「如儡子系伝攷」 
       昭和53年12月
    千葉真也氏「『百八町記』の典拠について」
       昭和57年3月
    青山忠一氏「百八町記」
        平成11年2月28日

    ●潁原退蔵氏以下、いずれも力作・労作であるが、中でも、千葉真也氏の典拠の解明は画期的で、この論文によって、如儡子の著述の背景が解明された。次に、青山忠一氏の労作は、ただただ、敬服するのみである。青山氏は、紙数に気兼ねする事無く、100頁の大論文を執筆しておられる。逐条的に、この作品に真正面から向き合って、分析・解説・批評・評価しておられる。
    ●私は、野田寿雄先生の、第一期・仮名草子研究会に参加させて頂き、この会で、青山忠一先生から多くの御指導を賜った。特に仏教的な諸問題に関しての、お説は、今も有り難く感謝している。






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    2017.11.24 Friday

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