布引三十六歌碑 鈴木重嶺

  • 2019.06.02 Sunday
  • 06:53
布引三十六歌碑 神戸市 鈴木重嶺
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最終更新日
2019年3月25日

明治のはじめ頃、花園社という市民団体が、布引の滝の周辺を布引遊園地として、平安時代から江戸時代にかけて詠まれた布引の滝の名歌の碑「布引三十六歌碑」を建てました。これらはその後散逸してしまいましたが、1934(昭和9)年に当時の神戸市観光課が布引渓谷の開放を進めた際、あわせて18基の復興を図りました。その後、1基は阪神淡路大震災で喪失したものの、17基は現在でも新神戸駅からみはらし展望台に至るハイキングコース沿いに点在しています。1992年(平成4年)から、神戸市により、新神戸駅からみはらし展望台までのハイキングコースや生田川再整備により整備された生田川公園に、未復興だった残りの歌碑も順次復興され、2007年(平成19年)に全ての歌碑が復興されました。
• 歌碑の解説(PDF形式:4,478KB)

• 歌の解説は、神戸大学名誉教授・野中春水氏にお願いしました。

歌一覧
• 1/布引の滝のしらいとなつくれは 絶えすそ人の山ちたつぬる(藤原定家)
• 2/あしのやの砂子の山のみなかみを のほりて見れは布ひきのたき(藤原基家)
• 3/布引の滝の白糸わくらはに 訪ひ来る人も幾代経ぬらむ(藤原行能)
• 4/津の国の生田の川の水上は 今こそ見つれ布引の滝(藤原基隆)
• 5/水の色たた白雪と見ゆるかな たれ晒しけむ布引のたき(源 顕房)
• 6/音にのみ聞きしはことの数ならて 名よりも高き布引の滝(藤原 良清)
• 7/さらしけむ甲斐もあるかな山姫の たつねて来つる布引の滝(藤原 師実)
• 8/山人の衣なるらし白妙の 月に晒せる布引のたき(藤原 良経)
• 9/山姫の嶺の梢にひきかけて 晒せる布や滝の白波(源 俊頼)
• 10/幾世とも知られぬものは白雲の 上より落つる布引の滝(藤原 家隆)
• 11/いかなれや雲間も見えぬ五月雨に さらし添らむ布引の滝(藤原 俊成)
• 12/岩はしるおとは氷にとさされて 松風おつる布引のたき(寂蓮 法師)
• 13/白雲とよそに見つれと足曳の 山もととろに落つる滝津瀬(源 経信)
• 14/水上の空に見ゆれは白雲の 立つにまかへる布引の滝(藤原 師通)
• 15/呉竹の夜の間に雨の洗ひほして 朝日に晒す布引の滝(西園寺 実氏)
• 16/うちはへて晒す日もなし布引の 滝の白糸さみたれの頃(藤原 為忠)
• 17/水上は霧たちこめて見えねとも 音そ空なる布引のたき(高階 為家)
• 18/水上はいつこなるらむ白雲の 中より落つる布引の滝(藤原 輔親)
• 19/岩間より落ち来る滝の白糸は むすはて見るも涼しかりけり(藤原 盛方)
• 20/松の音琴に調ふる山風は 滝の糸をやすけて弾くらむ(紀 貫之)
• 21/たち縫はぬ紅葉の衣そめ出てて 何山姫のぬの引の滝(順徳院)
• 22/ぬきみたる人こそあるらし白たまの まなくもちるかそての狭きに(在原 業平)
• 23/我世をは今日か明日かと待つ甲斐の 涙の滝といつれ高けむ(在原 行平)
• 23別/こきちらすたきのしら玉拾ひおきて 世のうきときのなみたにそかる(在原 行平)
• 24/雲井よりつらぬきかくる白玉を たれ布引のたきといひけむ(藤原 隆季)
• 25/久かたの天津乙女の夏衣 雲井にさらす布引のたき(藤原 有家)
• 26/ぬのひきのたき見てけふの日は暮れぬ 一夜やとかせみねのささ竹(澄覚法親王)
• 布引のたきつせかけて難波津や 梅か香おくる春の浦風(澄覚法親王)
• 27/たち縫はぬ衣着し人もなきものを なに山姫の衣晒すらむ(伊勢)
• 28/ぬしなくて晒せる布を棚はたに 我こころとやけふはかさまし(橘 長盛)
• 29/雲かすみたてぬきにして山姫の 織りて晒せる布引のたき(加藤枝直)
• 30/主なしと誰かいひけむおりたちて きて見る人の布引のたき(小沢蘆庵)
• 31/くりかえし見てこそ行かめ山姫の とる手ひまなき滝の白糸(鈴木重嶺)
• 32/布引の滝のたきつ瀬音にきく 山のいはほを今日見つるかも(賀茂真淵)
• 33/たち縫ぬ絹にしあれと旅人の まつきて見や布曳の滝(賀茂季鷹)
• 33別/分入し生田の小野の柄もここに くちしやはてむ布曳の滝(賀茂季鷹)
• 34/布引のたきのしらいとうちはへ てたれ山かせにかけてほすらむ(後鳥羽院)
• 蛍とふあしやの浦のあまのたく 一夜もはれぬ五月雨のそら(後鳥羽院)
• 35/世と共にこや山姫の晒すなる 白玉われぬ布引のたき(藤原公実)
• 36/たちかへり生田の森の幾度も 見るとも飽かし布引の滝(源 雅実)
• 番外1/千代かけて雄たき女瀧の結ほれし つきぬ流を布引の川(作者不詳)
• 番外2/みそ六つのひに響けり山姫の 織るや妙なる布引のたき(太田錦里)
• 句碑/涼しさや嶋へかたふく夕日かけ(布引坊)
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31 くりかえし見てこそ行かめ山姫の とる手ひまなき滝の白糸 鈴木重嶺

【解説板】 鈴木重嶺 しげね (文代二年(1814)〜明治三十 一年(1898))、江戸末 明治期歌人。 江戸幕府末期の役人で、維新頃の官職にもついた。後、歌道に精進し明治 二十八年(1895)短歌結社「鶯蛙吟社」を結成し、歌誌「詞林」を発行した。 この「詞林」は後年「心の花」に吸収 合併された。この歌、「山の女神が手も休めずに白糸をくりかえし繰るようにくり返し眺め楽しんで行こう」と繰る、糸の縁語をからませた技巧歌である。これまた布引の滝は人工美でなく、造化の女神 の手になったとその美しさを讃えているのである。
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●鈴木重嶺は、諸方面で活躍していたことが知られる。






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  • 2020.07.07 Tuesday
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