北村 薫 『小萩のかんざし いとま申して 3』読後の感想

2018.12.01 Saturday

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    北村薫『小萩のかんざし』  読後の感想

    ●北村薫氏の『小萩のかんざし いとま申して 3』 は、今年4月の発行、今日、ネット上の、読後感想を一瞥したが、ネット上の感想も、だんだん、充実した感想がアップされ出した。

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    Rusty
    筆者の父の残した日記を軸に、折口信夫や横山重にまつわる記録をひもときながら過去を描写していく。100年も経っていないくらいのことでも、私のような昭和最後のころの生まれにとっては遠い遠い昔のようで想像を超えている。昭和初期の戦前期というのはそれだけ特異な時期だったのだろうか。本書の終盤は本当に急かされるように切なくなりながらページをめくった。結びに挙げられた、仏足石の歌が印象に残る。「御足跡(みあと)作る 石の響きは 天(あめ)に到り 地(つち)さへゆすれ 父母がために 諸人(もろびと)のために」。
    ナイス★2
    コメント(0)2018/10/01


    紅はこべ
    本がなければ生きていけない人達の物語。ここで言う本は、私が普段読んでいるエンタメ系小説とは種類や次元が違う。演彦氏の日本文学古典中心の読書のうち『愛の一家』が入っているのは微笑ましい。演彦氏は横山重(本作で初めて知る名前)とは直接の面識はないらしいので、彼を副主人公格にしたのは、演彦氏の立場を鮮明にするためか。横山より、演彦氏の親しい友で横山の片腕だった太田武夫の像が印象的だ。古典の異本の収集や翻刻の重要性がよくわかる。マスミさんの童話読んでみたい。戦争の記述があっさりなのが意外。特に沖縄の。
    ナイス★96
    コメント(0)2018/09/29


    遠い日
    「いとま申して 3」完結編。折口信夫に強く憧れながら、膝下で取り巻きのひとりにはなれなかった、北村氏の父。民俗学への思いも絶ち難く、終生研究を手放すことはなかった。慶應の院生時代の、家族への申し訳なさと学問への熱い気持ちのアンバランスが痛々しい。空前の就職難で、学ぶことは仕事につながらない虚しさ。やっとのことで得た、沖縄での教師生活が、仕事と学問を支えた。自分を生きた父の、半生を紐解いて、北村氏の感慨は深かっただろう。生々しい研究者たちの確執と連帯にも多く触れられ、日本の民俗学の裏事情も興味深かった。
    ナイス★9
    コメント(0)2018/09/18
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    ●北村 薫 『小萩のかんざし いとま申して 3』
    2018.04.02 Monday
    北村 薫 『小萩のかんざし いとま申して 3』読後感

    北村 薫『小萩のかんざし いとま申して 3』
    2018年4月5日、文藝春秋発行
    四六判、462頁、定価2200円+税

    ●北村 薫氏の近著が発行された。「いとま申して」シリーズの3冊目で、これが完結編である。
    ●著者の父・宮本寅彦氏が書き残した膨大な日記を、丹念に読み、その背景を徹底的に調べて、その記述の真相に迫まっている。このような子を持った親は幸せであり、このような父をもった著者も、また幸せである。朝日新聞に〔おやじの背中〕というのがあるが、ほとんどが、余り深みのない思い出ばなしである。
    ●父は、昭和8年、慶應義塾大学を卒業し大学院へ進む。「いとま申して 3」では、大学院で研究する様子、以後の日記の検証がなされている。私は、今、一応読了はしたが、まだまだ、消化不足の点はあると思う。
    ●それにしても、父の日記の内容は、学問に取り組む姿勢が素晴らしい。旧制の大学生、大学院生は、こんなに勉強したのか、と感心する。これは、慶應義塾大学だけではないと思う。私は、山梨の身延高校卒であるが、先輩の平林文雄先生は、旧制の身延中学卒である。平林先生には、30年間以上、共に日本文学研究会で御指導を頂いたが、新制の私とは、余りに学力の差があるので、自分を平林先生の後輩とは思っていない。
    ●ともあれ、この優れた素材を、著者は、真相究明に、情熱と深い敬愛の心で、真摯に取り組んでいる。折口信夫を中心に、横山重、池田彌三郎、太田武夫、戸板康二、俵元昭、森武之助、佐藤信彦、波多郁太郎、檜谷昭彦、などなど、たくさんの関係者の名前が出てくる。人間は、多くの人々に、教えられ、助けられ、生きているものだと、つくづく思う。
    ●著者は、本書の冒頭で、次の如く記す。
    「さて、本巻でその巨大な姿を表す人物が、横山重である。折口氏に比べ、知名度が高いとはいえない。必要上、この章で人物紹介をしておく。」
    ●私は、わくわくして、読み進めた。これまで知らなかった、横山先生の若い頃からの生き方が、立体的に総合的に描写されている。折口信夫との関係は、うっすらとは知っていたが、このように、厳しく、辛辣な、そうして、学問の上での相入れない関係もあったのか。そうして、学問の究極では、お互いに、認めていたのではないか。そのように、知ることが出来た。やはり、折口信夫は大学者であった。横山先生も、やはり、大研究者であった。これまで、〔横山重〕に関しての、まとまった記録は無かったように思う。その意味で、この度の、『小萩のかんざし』は、折口信夫の伝記であり、〔横山重〕の初めての伝記と言えるのではないか。
    ●心から尊敬申し上げる、横山重先生の実像を見せて頂いて、心から感謝している。歴史的記録とは、大きな社会の変動を、大局的に記録することも大切であるが、優れた文学が描写するような、極めて具体的な記録に、その時代の一面が的確にとらえられていることが、しばしばある。この度の著書にも、それを感じた。
    ●私は、今、「仮名草子の書誌的研究」を書き進めている。北村薫氏の近著を読むのに、2日間を使った。また、しばらくして、再度、読みたいと思う。
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    ●これは、私の読後の感想である。

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    2018.12.14 Friday

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