1日100首×10日=1000首

  • 2019.08.21 Wednesday
  • 07:07
歌人 井関隆子

●8月15日の山梨日日新聞で、次のような指摘がある。

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歌人でもあった隆子は、日記に約800首の和歌を記している。源氏物語や枕草子、萬葉集などを引用していて、池田さんは「読書家で文化人としての識見も高かった」と分析する。

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●昭和50年(1975)9月28日、この井関隆子の日記に関して、初めて学会発表をした。44年前のことである。参加者の反応は、様々であった。ただ、重友毅先生は、「これは掘り出し物ですね」と申された。

●質疑応答の折、発表者の私が、「この日記には800首の和歌が収録されています」と申し上げたところ、重友毅先生は、「深沢君、歌は数ではありませんよ」と注意して下さった。

●『日記』の、天保11年3月3日の条に、隆子は次の如く述べている。

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「今は六年にやなりぬらむ。遠つ近江の国に、県居の翁の神社とてとてまつられたるよし聞えしかば、己が数詠にしつる千首の歌、たよりに付て其社へ納めたりき。其哥どもの下書の残れるを今見るに、日を重ね、とかくかうがへ詠出むだに、少しもよろしと思ふ哥はまれなるを、まして一日に百哥詠つゝ、十日の程に物しつれば、殊にいみじう聞ぐるしう拙き哥どもなるを、いかにしつることぞと後に思へば、いと浅ましきを、其をり思へりしは、かの翁は古事を吾ものとして、哥よみ文かき、人にも教へつるより、今おれおれしき己れらまで、いさゝかにても、古事のかたはしいひ出るは、またくかの翁のいさをのふゆなる事のうれしさに、拙くともよしさばれとて、いさゝか幣代も添て奉れるは、其いつきそめらるゝ翁神を祝ひまつる心なりしが、その歌どものいといとあしければ、神はうけじとこそ。」

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●隆子は、1日100首の歌を10日間連続で詠んで、その1000首の歌を、尊敬する、加茂真淵の県居神社へ奉納したという。

●私は、浜松市の県居神社の蔵書を調査したが、戦災に合っていて、現在は所蔵されていなかった。現物は現存しないけれど、隆子が、1日100首、連続10日で1000首の歌を詠じて、加茂真淵の神社へ奉納したということは、信用してよいだろう。

●この、創作活動は、どのように評価すればよいだろうか。昭和女子大学の卒業生で、朝日新聞の歌壇の選者、馬場あき子氏に問うてみたい。